久しぶりの明晰夢
ここ数か月間、目が覚めてからもはっきりと覚えているほど印象的な夢を見なかったのですが、今朝久しぶりに”明晰夢”と言っていいほどのハッキリした夢を見ました。
…と言っても、この3日ほど、自分が空港にいる夢や飛行機に乗る直前で準備をしているような夢を立て続けに見ていました。全体は覚えていず、その印象だけがやけに残っているという感じです。
そして、今朝のこと。この夢はとても鮮明で印象的でした。
では始めます。
私は、幼ななじみの女の友達と、テニスコートにいます。時刻は夕暮れ。学校で放課後の部活をしているような雰囲気でした。
私たちは2人ずつに分かれ、ネットを挟んでボールを打ち合っています。緩く、会話をしながら遊んでいるみたいです。
幼なじみという設定ですが、実際その中のひとりは高校の時の同級生で、特に仲のよかったわけでもない子でした。ただ、彼女は繊細な容姿の持ち主で、色白の肌に色素の薄い目をして、細っこい透けるような色の髪の毛を持っていました。
緩くボール打ちをしながら会話している内に、その彼女がどうやら何処か遠い所へ行くのだということがわかりました。しかも、私を除く他の友達はそのことを既に知っていたようでした。
何だか仲間外れにされているような、寂しい気持ちになりながら、それでも彼女たちに対する友情を失わずにテニスを続けていました。何処かに行ってしまうという彼女についても、特に仲のよかったわけでもない人なので、実際はそこまで名残惜しいという気もしていませんでした。
そうしている内に、どうやら時間が来たようで、繊細な容姿を持つその友達は、ある方向を向いてそちらへ向かい始めました。
それは砂色の岩で出来た城壁の上のようなところで、彼女は上り坂になったその上をずんずん前へ歩いて行きます。
「…また会えるよね。またいつか帰って来るよね。」
私はそう言いました。 彼女は優しく、そして小さく笑って、自分の行く方向に振り返りました。
そうすると、私の目の前の上空で、もう彼女は小さな”鋤(すき)”のようなものに姿を変えて飛翔していました。
姿を変えた彼女の右隣に、さっと、やはり小さな、彼女の”鋤”と同じぐらいの大きさの藁(わら)で出来た箒(ほうき)が現れ、二つは一緒になって上空へ消えて行きました。
場面は変わって、どこか外国から来た心優しい青年が、この街で行っている自分の仕事が大変だと軽く愚痴をこぼしています。彼は大きなノートを広げて自分の仕事について、それがいかに大変かを私に説明して聞かせます。大変なのね…と同情する気持ちで私は彼の話を聞いていました。
先ほど、繊細な容姿を持つ女友達が去って行った城壁の上から、やはり高校時代の別の女友達が私を呼びました。友達は言いました、「学校にカメラを忘れているよ」と。
そしてまた言いました、「あなたももう行く時だよ」と。
私はあの城壁の上に、自分自身の姿を見ています。城壁の角になったところにうずくまって、体は大人だけれど、髪はツインテールにして、ひざを抱えて前方を見ながら座り込んでいる自分がいます。その様子はまるで小さな子供のように見えました。
城壁の下に降りて行きました。 そこには運河のような河が流れていて、船着き場になっています。
ちょうど小型の遊覧船ぐらいの大きさの船が着いて、船頭さんの姿は見えないのですが、
「ロコ移民 ロコ移民」
という、呼びかけるような声が聞こえていました。
この船に乗って行くんだな、と思いました。
そこで自然に目が覚めました。
とても柔らかい空気感の世界でした。少し寂しいような気持ちはあるけれども、常に穏やかな気持ちでいました。そして、私を含めそこにいる人々は、どうなるのかを、何が起こるのかを実際は全て“わかっている”という感じでした。